「低炭素革命と地球の未来」

低炭素革命と地球の未来

竹田 青嗣、橋爪 大三郎 著、ポット出版、定価1,890円(本体1800円+税)
2009.9.10 初版

 

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この危機が、人間社会の大きな希望となるかもしれない

もし人口の増大と経済競争の格差を持続的に制御でき、
技術とエネルギー革命の進展をもつことができれば、
人間社会は、各人が生の目的を自由に追及できる可能性の
一般条件を高めてゆくはずである。
近代哲学者が、市民社会をはじめに構想したとき、彼等の脳裏にあったのは、
まさしくそのような人間社会の可能性の理念だった。

はじめに 竹田青嗣
第1部 「炭素会計」がなぜいま必要か
 『「炭素会計」入門』の問題提起とは
  地球は温暖化しているのか
  炭酸ガス濃度はどれだけ増えているのか
  京都議定書と各国の炭酸ガス削減への取り組み
  炭酸ガスを出さないエネルギーの可能性
  温暖化問題の本質とはなにか
 竹田青嗣の「炭素会計」への共鳴
  資本主義の行方
  資本主義の原理は「普遍交換」と「普遍消費」
  90億の人が普遍消費をするとどうなるか
 温暖化問題と資本主義
  資本主義に代わる経済システムはあるのか
  新しい「大きな物語」というチャレンジ
  資本主義の性質を変えなくてはいけない
  人間はなんのために生きているのか
 「炭素会計」は資本主義改革の契機となりうるか
  状況や時代に応じて市場の切り分けをする
  政策として炭素をどう扱うか
  現実の制度にしていくにはどうすればいいのか
 会場から
  「一般意志」をどう取り出せばいいのか
  問題を解決する制度や仕組みはないかを考える
  持続可能な資本主義のあり方を考える
  医療や炭素における合意に基づく分配のルールとは?
  「正しい」ということと「得だ」ということ
  市場原理に任せるものとそうでないものを切り分ける
  新たな国家間格差を生み出さないためには
  一番ポテンシャルがあるのは日本だ
  市民にどういうインセンティヴを与えればいいか
  「世界市民」が共通のルールを調整していく
  まず炭素を見えるようにすること
  テクノロジーやJフードの可能性
第2部 世界市民と正義のつくりかた
 国家と資本主義批判への問題提起
  ポストモダン思想の国家と資本主義批判
  マルクス思想の国家と資本主義批判
  国家権力はなぜ否定できないのか
  普遍分業を捨てると普遍支配構造が復活する
  資本主義がむかえるふたつの限界
 グローバリズムと環境、経済格差問題
  環境問題はこれまでの公害問題とはちがう
  グローバル化が引き起こした格差問題
  ケインズのつぎの天才経済学者が必要
  この危機を好機に大転換するための合意づくり
  グローバリズム化でなにが起こっているか
 環境問題を哲学で考える
  国家どうしの「自由の相互承認」は可能か
  「文化」というルールの壁は越えられるのか
  媒介項をおいて国家間のルールを調整していく
  原理を生み出す哲学の可能性
 会場から
  市民という立場でなにができるか?
  まずは炭酸ガス排出量を数値化すること
  一人ひとりの自覚が問題を解決する糸口にならないか?
  原理的な考え方とデータを提示する
  役に立つ言論は事前にはわからない
  既得権をどう考えるか
  国の役割は平等な配分の調整
  どんな社会でもルールは変えていくことができる
  国連の可能性は?
  国連には問題解決能力はほとんどない
  国連以外の調整機関を構想する
  生産能力が落ちた日本が老人を支えるのは無理?
  日本の高齢化対策は世界で使えるものになる
  高齢者問題を乗り越える方法は?
  人口を減らして競争原理を落とす
  家族や地域といった小共同体の可能性は?
  都市や地域社会を再設計する
  新しい共同体のあり方を構想する
  つぎのケインズを見つけられるのか
  必ずいるけど、見つける方法がむずかしい
  合意を経ない拘束は続くのか
  合意によって自分の自由を制限する
  まず先進国の市民から合意を取り出す
  理性がひとつの鍵になるのか
  歴史を踏まえた個人主義を知る
  ヘーゲルやルソーの理性の在り方を置く
あとがき 橋爪大三郎
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