この危機が、人間社会の大きな希望となるかもしれない
もし人口の増大と経済競争の格差を持続的に制御でき、
技術とエネルギー革命の進展をもつことができれば、
人間社会は、各人が生の目的を自由に追及できる可能性の
一般条件を高めてゆくはずである。
近代哲学者が、市民社会をはじめに構想したとき、彼等の脳裏にあったのは、
まさしくそのような人間社会の可能性の理念だった。
- はじめに 竹田青嗣
- 第1部 「炭素会計」がなぜいま必要か
- 『「炭素会計」入門』の問題提起とは
- 地球は温暖化しているのか
- 炭酸ガス濃度はどれだけ増えているのか
- 京都議定書と各国の炭酸ガス削減への取り組み
- 炭酸ガスを出さないエネルギーの可能性
- 温暖化問題の本質とはなにか
- 竹田青嗣の「炭素会計」への共鳴
- 資本主義の行方
- 資本主義の原理は「普遍交換」と「普遍消費」
- 90億の人が普遍消費をするとどうなるか
- 温暖化問題と資本主義
- 資本主義に代わる経済システムはあるのか
- 新しい「大きな物語」というチャレンジ
- 資本主義の性質を変えなくてはいけない
- 人間はなんのために生きているのか
- 「炭素会計」は資本主義改革の契機となりうるか
- 状況や時代に応じて市場の切り分けをする
- 政策として炭素をどう扱うか
- 現実の制度にしていくにはどうすればいいのか
- 会場から
- 「一般意志」をどう取り出せばいいのか
- 問題を解決する制度や仕組みはないかを考える
- 持続可能な資本主義のあり方を考える
- 医療や炭素における合意に基づく分配のルールとは?
- 「正しい」ということと「得だ」ということ
- 市場原理に任せるものとそうでないものを切り分ける
- 新たな国家間格差を生み出さないためには
- 一番ポテンシャルがあるのは日本だ
- 市民にどういうインセンティヴを与えればいいか
- 「世界市民」が共通のルールを調整していく
- まず炭素を見えるようにすること
- テクノロジーやJフードの可能性
- 第2部 世界市民と正義のつくりかた
- 国家と資本主義批判への問題提起
- ポストモダン思想の国家と資本主義批判
- マルクス思想の国家と資本主義批判
- 国家権力はなぜ否定できないのか
- 普遍分業を捨てると普遍支配構造が復活する
- 資本主義がむかえるふたつの限界
- グローバリズムと環境、経済格差問題
- 環境問題はこれまでの公害問題とはちがう
- グローバル化が引き起こした格差問題
- ケインズのつぎの天才経済学者が必要
- この危機を好機に大転換するための合意づくり
- グローバリズム化でなにが起こっているか
- 環境問題を哲学で考える
- 国家どうしの「自由の相互承認」は可能か
- 「文化」というルールの壁は越えられるのか
- 媒介項をおいて国家間のルールを調整していく
- 原理を生み出す哲学の可能性
- 会場から
- 市民という立場でなにができるか?
- まずは炭酸ガス排出量を数値化すること
- 一人ひとりの自覚が問題を解決する糸口にならないか?
- 原理的な考え方とデータを提示する
- 役に立つ言論は事前にはわからない
- 既得権をどう考えるか
- 国の役割は平等な配分の調整
- どんな社会でもルールは変えていくことができる
- 国連の可能性は?
- 国連には問題解決能力はほとんどない
- 国連以外の調整機関を構想する
- 生産能力が落ちた日本が老人を支えるのは無理?
- 日本の高齢化対策は世界で使えるものになる
- 高齢者問題を乗り越える方法は?
- 人口を減らして競争原理を落とす
- 家族や地域といった小共同体の可能性は?
- 都市や地域社会を再設計する
- 新しい共同体のあり方を構想する
- つぎのケインズを見つけられるのか
- 必ずいるけど、見つける方法がむずかしい
- 合意を経ない拘束は続くのか
- 合意によって自分の自由を制限する
- まず先進国の市民から合意を取り出す
- 理性がひとつの鍵になるのか
- 歴史を踏まえた個人主義を知る
- ヘーゲルやルソーの理性の在り方を置く
- あとがき 橋爪大三郎
- プロフィール・著作一覧